IFRS

IFRSとは

IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略称で、邦訳では国際財務報告基準といいます。国際会計基準審議会などが作成した一体の会計文書を示す用語になります。
東証によると、IFRSは世界共通のモノサシであるため、世界中で利用可能な単一の会計基準を作成することで、どこの国の企業であっても企業の実態を把握できるようになります。

また、IFRS 導入によって期待される効果について、東証は以下のとおり公表しています。

・グローバルマネーの更なる呼び込みが期待できる
・投資判断の効率化
・連結財務諸表作成の効率化

(出典:東証HP「IFRS(国際財務報告基準)への対応」より抜粋)

財政状態計算書

日本会計基準における貸借対照表に該当します。
資産及び負債は、流動項目と非流動項目とに区分して表示します。流動項目と非流動項目の配列については、日本会計基準では流動性配列法(流動性が高い順に並べる方法)により配列しますが、IFRSでは特に規程はありません。
なお、IFRSを適用している日本企業の大部分が流動性配列法を採用しています。

包括利益計算書

日本会計基準における損益及び包括利益計算書(1計算書方式)、あるいは損益計算書と包括利益計算書(2計算書方式)に該当します。日本会計基準と同様に、IFRSでも1計算書方式と2計算書方式の2種類の表示方法があります。
なお、両基準では、段階損益及び特別損益の表示が異なります。日本会計基準では5つの段階損益と特別損益項目の表示が求められますが、IFRSでは段階損益は任意に表示できるものの、いかなる項目も特別損益項目として表示することはできません。

持分変動計算書

日本会計基準における株主資本等変動計算書に該当します。
資本の各内訳項目について、期首から期末の帳簿価額への調整表となります。

初度適用

従来は日本会計基準を適用していた企業が、初めてIFRSを適用することをいいます。

初度適用に関係する用語は、以下のとおりです。

・最初のIFRS財務諸表:企業がIFRSを適用する最初の財務諸表をいいます。
・IFRS比較財務諸表:最初のIFRS財務諸表に対応する前年の財務諸表となります。
・IFRS移行日:IFRS比較財務諸表における期首時点を指します。
・IFRS開始財政状態計算書:IFRS移行日現在の財政状態計算書となります。

例えば、2024年4月1日から2025年3月31日の事業年度を対象に”最初のIFRS財務諸表”を作成した場合、年度と各用語との対応関係は以下のとおりとなります。

・最初のIFRS財務諸表:2024年4月1日から2025年3月31日を対象としIFRSに基づき作成された財務諸表
・IFRS比較財務諸表:2023年4月1日から2024年3月31日を対象としIFRSに基づき作成された財務諸表
・IFRS移行日:2023年4月1日時点
・IFRS開始財政状態計算書:2023年4月1日時点の財政状態計算書となります。

上記のとおり、2024年4月1日から2025年3月31日の事業年度を対象に”最初のIFRS財務諸表”を作成しようとした場合、以下の事項を作成する必要があります。

・2024年4月1日から2025年3月31日の財務諸表(財政状態計算書、包括利益計算書、持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書)
・2023年4月1日から2024年3月31日の財務諸表(財政状態計算書、包括利益計算書、持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書)
・2023年4月1日時点の財政状態計算書