ディープテック企業

ディープテック企業とは

ディープテックとは、経済産業省の定義によれば、「特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術であり、その事業化・社会実装を実現できれば、国や世界全体で解決すべき経済社会課題の解決など社会にインパクトを与えられるような潜在力のある技術」を指します。また、東証によれば、ディープテック企業とは、「宇宙、素材、ヘルスケアなど、先端的な領域において新技術を活用して新たな市場の開拓を目指す研究開発型企業」を指します。
その分野は広く、具体的には、人工知能や量子コンピュータ、クリーンエネルギー、ゲノム編集、ナノテクノロジー、IoT、センサーなどが該当します。

ディープテック企業の特徴

経済産業省によると、ディープテック企業は以下の特徴を有しています。

①研究開発の成果の獲得やその事業化・社会実装までに長期間を要することにより不確実性が高い
②多額の資金を要する
③事業化・社会実装に際しては既存のビジネスモデルを適応できない

そのため、これらの特徴により、ディープテック領域は自然体ではイノベーションの循環が起きにくいものの、その循環が実現できれば社会的課題の解決に資することから、国として支援する必要性が高いとされています。
また、IPOを通じて技術研究・開発や設備投資に必要な多額の資金調達を目指す企業が増えています。

ディープテック企業とIPO

東証は、2022年12月に「新規上場ガイドブック(グロース市場編)」を改訂し、ディープテック企業の上場審査について運用を明確化しました。具体的には、ディープテック企業が、製商品化・サービス化に至っていない段階で上場する場合における審査上のポイント等を開示しています。

グロース市場は、高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ、一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場です。
当該コンセプトを踏まえ、グロース市場には、適切な開示を前提に、宇宙、素材、ヘルスケアなど、先端的な領域において新技術を活用して新たな市場の開拓を目指す研究開発型企業(ディープテック企業)が、製商品化・サービス化に至っていない段階で上場することも可能となっています。
(2024年8月末時点で該当企業は2社)

東証では、ディープテック・バイオビジネス関連企業の上場を支援しています。具体的には、相談窓口を設け、宇宙、素材、ヘルスケアなど、先端的な領域において新技術を活用して新たな市場の開拓を目指す研究開発型企業(ディープテック企業)や、創薬系バイオビジネスの会社をはじめとした、ディープテック・バイオビジネス関連企業が、円滑な上場準備を経て新規上場を実現できるよう、企業の検討段階に応じたサポートを実施しています。

ディープテック企業と上場審査上のポイント

①事業計画の合理性

ディープテック企業が、製商品化・サービス化に至っていない段階で上場しようとする場合、新たな市場をこれから開拓しようとしており、かつ技術開発及びビジネスモデルの確立が途上であることから、事業計画の合理性の評価の前提となる事業環境やビジネスモデルの内容、事業計画を遂行するために必要な事業基盤の整備見込みの確認手段が限られるなど、事業計画の合理性の評価が相対的に困難な場合も考えられます。
そのため、グロース市場事業計画の合理性」の審査においては、上場までに大規模な資金調達を行っており、上場後も機関投資家を中心に大規模な資金調達を計画している場合(※)には、機関投資家の投資評価(例えば、既存株主である機関投資家に対してビジネスモデルや事業環境の評価などをヒアリングする、主幹事証券会社を通じて、上場承認までに行われるインフォメーション・ミーティングなどにおける機関投資家の評価等を確認するなど)を活用することで、グロース市場の上場が可能となっています。

(※)例えば、機関投資家からの資金調達は、上場前から100億円程度の資金調達実績がある、上場時の時価総額が1,000億円程度の水準に達する場合などを想定されています。

ただし、ディープテック企業であっても、これまでの事業実績等から技術開発等の水準・見通し、顧客需要・コストを含むビジネスモデルの具体的な計画、規制動向・法的基盤等の状況を踏まえて事業計画の合理性を評価できる場合は、このような投資家評価を求めるものではありません。

②求められる開示

製商品化・サービス化に至っていないディープテック企業の企業価値評価が適切に行われるためには、「Ⅰの部」及び「事業計画及び成長可能性に関する事項」などの開示資料において、今後確立を目指すビジネスモデルや事業展開の見通し及びリスク情報等の重要な投資判断材料が適切かつ十分に開示されることが重要であり、開示内容を検討するにあたっては、上場前のインフォメーション・ミーティングなどの機会を活用し、投資者が企業価値を適切に評価するために必要な内容となっているか検証することも重要です。

響きパートナーズでは、IPOを目指すディープテック企業に対して支援実績があり、これまでのIPO支援で培った知識、経験、ノウハウを踏まえて、事業計画の策定、規程整備、Ⅰの部各種説明資料JSOX内部監査、成長可能性資料など、IPOに関する様々なタスクに対して効率的に支援することが可能です。

響きパートナーズ株式会社

響きパートナーズは、IPO支援を行なうコンサルティング会社です。ベンチャー企業の経営支援・IPO支援のプロフェッショナルとして、毎年、国内で上場する企業のおよそ10社に1社をご支援しています。当社では、IPOに関する課題をお持ちのお客様に、アドバイスだけでなくコンサルタントが実際に手を動かして、課題解決に向けて伴走支援いたします。

監修者

伊東 誌郎

公認会計士。有限責任あずさ監査法人にて、上場会社の法定監査およびIPO監査、ショートレビュー、その他アドバイザリー業務等に従事。2018年に響きパートナーズに参画、パートナーを務める。

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