J-Adviser

J-Adviserとは

J-Adviser(ジェイ アドバイザー)とは、日本の証券市場において、特にTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)に上場を希望する企業に対して、通常、証券取引所が行う上場審査・モニタリング業務や主幹事証券会社が行う上場準備助言や上場後のフォローアップを取引所や証券会社に代わって行う専門家(アドバイザー)を擁する会社のことを指します。
具体的には、東京証券取引所(以下、「東証」という)がJ-Adviser 制度において設けている一定の条件を満たし、東証より資格を付与された会社がJ-Adviserとなり、上場前の上場適格性の調査確認や上場後の適時開示の助言・指導、上場維持要件の適合状況の調査を実施します。

TOKYO PRO Marketは、特定投資家等が主な投資家であり、上場時に満たす一部の基準も他市場と比べて軽減されています。それに加えて、申請に必要となる様々な手続きや東証との面談も、J-Adviserが対応するため、一般的には、上場申請~承認には3か月程度を要しますが、上場申請から上場までの期間は10日間(※準備期間は除く)に短縮され、上場までに掛かる費用も一般市場への上場に比べて安価です。

(東証ホームページより抜粋)

J-Adviserの選定

TOKYO PRO Marketに上場するためには、企業は、J-Adviserを1社選定し、契約することが必要です。また企業は、新規上場時のみならず上場後もJ-Adviserとの契約を維持する必要があり、上場企業がJ-Adviserとの契約関係を失った場合、原則当該企業は監理銘柄に指定され、一定期間内に別のJ-Adviserを確保できない場合は、整理銘柄に指定されたのち上場廃止となります。そのため、J-Adviserは上場後も当該企業のモニタリングを継続していく義務があります。

2024年5月現在、J-Adviserは、東証より19社認定されています。主に、証券会社やコンサルティング会社等が認定を受けています。

(東証HP)J-Adviser一覧

 

J-Adviserの要件

J-Adviserは、経営の適切性や財務の健全性などの一般的な項目を満たすことに加えて、資本市場における経験や知見、コーポレート・ファイナンスにかかる助言等の一定の経験、J-Adviser の業務を行うために十分な経験と高い知見を有する J-QS(Qualified Specialist)を3名以上確保すること等が求められています。担当会社に対する質の高いサービスの提供と指導力の発揮のため、十分な人的資源が必要との考え方からです。

J-QS 資格は個人に付与されるわけではなく、J-Adviserとしての義務を履行する責任者として、J-Adviserの企業が常勤の役職者から個々に指名し、適格性を有する者について東証が認定する形です。J-Adviserは担当企業の上場申請時に、J-QS の少なくとも1名を当該企業の担当 J-QS として、東証への提出書類である「上場適格性に係る宣誓書」に記載し、上場後も担当 J-QS が担当会社に助言・指導することが期待されています。

なお、J-QSは、J-AdviserまたはJ-Adviser資格取得申請者の常勤の役職員の中で、J-QS申請から5年間遡って3年間以上のコーポレート・ファイナンス業務の経験、日本の資本市場における経験や知見、J-Adviserとして関与する業務を統括する立場にある者、J-QSとして取引所の発展に貢献できる者、等の要件が定められています。

J-Adviserが提供するサービスの概要

J-Adviserは、東証が定めている上場前の上場適格性の調査確認や上場後の適時開示の助言・指導、上場維持要件の適合状況の調査以外に、担当上場会社に係るアナリストレポートが広く発行されるようサポートすることも求められます。

また、J-Adviserは、義務的な事項以外にも、各社の元々のビジネスでの強み等を活かし、ファイナンスやM&Aなど、様々な面でのサポートを行っているケースが多数です。例えば、TOKYO PRO Market上場後に他市場に上場する場合の助言やサポート、IRサポート、ビジネス拡大や事業承継に伴うM&Aアドバイザリーのほか、SDGsのサポートや人材紹介等などを行う会社もあります。
J-Adviserは一定の独立性を担保しながら、担当企業の成長・拡大を支援する会社という考え方もあるので、上場時に受けられるサポートのみならず、長期スパンでの自社の成長可能性や今後のビジネス展開、取りうるファイナンスの可能性等を見据えて、自社に合うJ-Adviserを見極めて選択することも重要です。

響きパートナーズ株式会社

響きパートナーズは、IPO支援を行なうコンサルティング会社です。ベンチャー企業の経営支援・IPO支援のプロフェッショナルとして、毎年、国内で上場する企業のおよそ10社に1社をご支援しています。当社では、IPOに関する課題をお持ちのお客様に、アドバイスだけでなくコンサルタントが実際に手を動かして、課題解決に向けて伴走支援いたします。

監修者

井熊 実

野村證券公開引受部、㈱エイチ・アイ・エス上場準備PJ統括、エイチ・エス証券取締役、事業会社取締役、SBI証券執行役員などを歴任し、2021年に響きパートナーズに参画。取締役パートナー。

TOPへ戻る