東京プロマーケット(TOKYO PRO Market)
TOKYO PRO Marketとは
TOKYO PRO Market(東京プロマーケット、TPM)は、東京証券取引所(以下「東証」という)が開設する特定取引所金融商品市場(いわゆるプロ向け市場)のうち株券等に係る市場で、2008年の金融商品取引法改正により導入された「プロ向け市場制度」に基づき設立されました。プライム市場やグロース市場等の一般市場と制度が異なり、投資家が限定されていること、上場に数値基準が設けられていないこと、J-Adviser制度があることが大きな特徴です。
なお、「TPM」は略称として「ティーピーエム」と言われます。
TOKYO PRO Marketにおいて買付け可能な投資家は特定投資家等(プロ投資家)に限定されており、特定投資家等を除く一般投資家の買付けは禁止されています。
特定投資家等(プロ投資家)の概要
項目 | 具体例 |
---|---|
特定投資家 | 適格機関投資家(金融機関など)、国、日本銀行 |
特定投資家(一般投資家へ移行可能) | 上場会社、資本金5億円以上の株式会社 |
「みなし」特定投資家 | 上記以外の株式会社、一定の要件に該当する個人(注) |
非居住者 | 日本国内に住所又は居所を持たない個人、日本国内に 主たる事業所を持たない法人 |
(注)詳細は、東証HP「新規上場ガイドブック」をご確認下さい。
TOKYO PRO Market と一般市場との違い
買付け可能な投資家がリスク許容度の高い特定投資家等に限定されていることを踏まえ、上場時に満たす一部の基準が、TOKYO PRO Marketでは一般市場に比べて軽減されています。一般市場で規定されている株主数や利益の額等の形式基準がTOKYO PRO Marketにおいては規定されていない一方で、コーポレートガバナンス等に関する上場適格性要件(実質基準)に関する基準は規定されており、J-Adviserによる調査及び確認が行われることとなっています。(詳しくは、J-Adviserとはをご覧ください。)
TOKYO PRO Market上場のメリットは、前述の通り形式基準がないことや上場時の資金調達が必須ではないなど、一般市場と比較して上場要件(財務基準や流通株式数など)が緩く上場のハードルが低いことにあり、中小企業や成長企業が上場しやすい点にあります。また、上場後もJ-Adviserとの契約を維持することでサポートを受けられること等が挙げられますが、最大のメリットとしては一般市場へのステップアップとして活用できることでしょう。
一方、デメリットとしては、投資家層が基本的にプロ投資家のため、一般市場ほど株式の流動性は期待できないという点について注意が必要です。
TOKYO PRO Market と一般市場との比較表
(東証HP概要(TOKYO PRO Market)より抜粋)
TOKYO PRO Marketの新規上場会社数の過去5年間の推移
TOKYO PRO Marketの新規上場会社数は2022年頃から上場件数が増加し、2023~2024年にその傾向はさらに加速しています。以前は不動産業や建設系が中心でしたが、最近はIT、教育、美容、福祉など幅広い業種が進出し、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)関連やヘルスケア領域の企業が増加しました。総じて、TOKYO PRO Marketは「成長企業が本則市場を目指す前段階の場」としての役割を強め、上場企業数も増加傾向にあることが特徴です。
TOKYO PRO Marketから一般市場への市場変更(ステップアップ上場)
TOKYO PRO Marketはプロ向け市場であることから、プロ向け市場を除く国内の他の金融商品取引市場との重複上場を行うことは認められていません。そのため、TOKYO PRO Marketから一般市場等他の金融商品取引市場へ市場変更(ステップアップ上場)を行う場合は、当該市場に新規上場申請を行い、TOKYO PRO Marketに上場廃止申請を行う必要があります。
響きパートナーズでは、TOKYO PRO Marketへの上場支援の実績も多く、発行者情報や内部管理体制の構築等の支援を行っております。
響きパートナーズ株式会社

響きパートナーズは、IPO支援を行なうコンサルティング会社です。ベンチャー企業の経営支援・IPO支援のプロフェッショナルとして、毎年、国内で上場する企業のおよそ10社に1社をご支援しています。当社では、IPOに関する課題をお持ちのお客様に、アドバイスだけでなくコンサルタントが実際に手を動かして、課題解決に向けて伴走支援いたします。
伊東 誌郎
公認会計士。有限責任あずさ監査法人にて、上場会社の法定監査およびIPO監査、ショートレビュー、その他アドバイザリー業務等に従事。2018年に響きパートナーズに参画、パートナーを務める。